それでは、どのくらいの凸凹[1] があると車輪は使えないのだろうか。こういうことに関しては、車椅子に関する資料がそろっている。車輪の直径[2] の四分の一までの高さの段ならば、体を前後させて車椅子の重心[3] を動かすことにより、なんとかクリア[4] できる。それ以上高い段は越すのがむずかしく、車輪の直径の二分の一より高い段を越すことは原理的にできない。車椅子の車輪の直径は六十一~六十六センチなので、十六センチの凸凹[5] が車椅子の使える限度[6] といえる。
地面のやわらかさの方はどうかというと、ふかふか[7] の絨毯[8] の上では、車椅子はなかなか前に進まない。われわれが歩く際には、足は地面をズルズル[9] と擦って[10] 歩いているのではなく、動いている方の足は宙[11] に浮いているし、地面に着いている方の足は、その場所を踏みしめた[12] ままだ。だから、地面との摩擦が大きくなっても、歩く効率はあまり落ちない。ところが車輪は、連続[13] 的に地面との摩擦を保ちながら地面をずって回っていく。だから、地面がふかふか[14] したりネチャネチャしたりすれば、回転に対する抵抗がすぐに大きくなって、回りにくくなる。例えば、泥ん地は、コンクリートの道路に比べて、回転の抵抗は五~八倍になるし、砂の上なら十~十五倍にもなる。
さて、自然に目を向けてみよう。石ころ[15] のゴロゴロ[16] していない、草が繁って[17] ふかふか[18] していない、雨がふってもどろんこ[19] にならない、そんな地形[20] はどこにあるだろうか。
われわれの目からみたら、自然はけっこう平らに見えるかもしれない。ただし、ここで忘れてならないことは、ヒトという生き物は、大変に大きい生き物だということである。百六十センチの高さから世界を見ている動物は、そう多くはない。われわれのサイズだからこそ、直径[21] 六十センチ以上もある車輪を使って、十六センチの凸凹[22] でも問題にせずにすむ。ネズミが車輪を使うとしたら、車輪の直径が六センチ程度になるだろうが、それなら一?五センチの小石[23] や枯れ枝[24] に難渋[25] することになる。アリ[26] が四ミリ[27] の車輪を使うとしたら、一ミリの砂粒[28] や落ち葉[29] 一枚に立往生[30] してしまうだろう。
[1]凸凹◎【でこぼこ】【名·形動·自动·三类】
(1)凹凸不平,坑洼不平。(物の表面に起伏があって平らでないこと。)
△凸凹の土地。/凹凸不平的土地。
△道が凸凹して歩きにくい。/路坑洼不平,不好走。
(2)不平均。(多い少ないがあって不揃いであるさま。)
△給与の凸凹をならす。/调整工资的高低不均。
△生産高は所によって凸凹がある。/产量因地区不同而有高有低。
[2]直径◎【ちょっけい】【名】
直径。(円または球の中心···通って円周または球面上に両端をもつ線分。また、その長さ。さしわたし。)
△直径30センチのなべ。/直径三十厘米的锅。
△その木は直径3メートルある。/那棵树直径有三米。
[3]重心◎【じゅうしん】【名】
重心、平衡。(物体の各部···にはたらく重力の合力の作用点。質量の中心と一致する。重力の中心。)
△重心を失う。/失去平衡。
△両手で重心をとって綱渡りする。/用两手保持平衡走钢丝。
[4]クリア②【くりあ】【名·他动·三类】【英】 clear
(1)跳过,跨过。利落地跳越横杆。(高跳で、バーを越えること。)
(2)解··。在足球比赛中,守方为防御而把球踢出去。(サッカーなどで、自陣ゴール近くのボールを遠くに蹴り返すこと。)
[5]凸凹◎【でこぼこ】【名·形動·自动·三类】
(1)凹凸不平,坑洼不平。(物の表面に起伏があって平らでないこと。)
△凸凹の土地。/凹凸不平的土地。
△道が凸凹して歩きにくい。/路坑洼不平,不好走。
(2)不平均。(多い少ないがあって不揃いであるさま。)
△給与の凸凹をならす。/调整工资的高低不均。
△生産高は所によって凸凹がある。/产量因地区不同而有高有低。
[6]限度①【げんど】【名】
限度,范围,界限。(物事の範···、程度等が、それを超えられないという境。限り。)
△最高限度/最高限度。
△限度を超える/超越限度。
△予算に限度がある/预算有限。
△限度がない/无限;没有限度〔范围,界限〕。
△経費は10万円を限度とする/经费以十万日元为限。
△忍耐には限度がある/忍耐是有限度的。
[7]ふかふか①②◎【ふかふか】【副】【形动】【自动·三类】
松软··。暄腾腾地鼓起来的样子。(柔らかくふくれている形容。)
△ふかふかしたふとん。/暄腾腾的被子。
△ふかふかのパン。/(又)暄(又)软〔暄腾〕的面包。
△木がふかふかにふやける。/木头泡涨了。
△このいすはふかふかして気持ちがいい。/这个椅子暄和,坐着舒服。
[8]絨毯①【じゅうたん】【名】
地毯。(羊毛などをパイル···りにした厚い織物。地の組織を作るたて糸とよこ糸のほかに、たて糸に色糸を結び、その先を切ってけば立てて模様を表す。床(ゆか)の敷物などに使う。カーペット。)
△ペルシャ絨毯。/波斯毛毯。
△絨毯爆撃/地毯式轰炸。
△赤い絨毯を踏んだ。/踏上了红色的地毯(走向光明的前途)。
[9]ズルズル①【ずるずる】【形动·副】
(1)拖拉着。(重い物や長い物をゆっくり引きずるさま。)
(2)一点点地滑动状。(少しずつ滑り落ちたり、後退したりするさま。)
(3)拖延不决。(物事の決まりをつけないさま。)
(4)抽吸液体状物的声音。(音を立てて汁を飲んだり、鼻汁をすすったりするさま。また、その音を表す語。)
(5)松松垮垮的样子。(しまりのないさま。物事にだらしのないさま。)
△痩せてズボンがズルズルになる。/瘦了之后裤子很肥大。
[10]擦る②【こする】【他动·一类】
摩擦,擦;揉搓;蹭(··に他の物を押し当てて何度も動かす。摩擦する)。
△消しゴムでこすり消す/用橡皮擦掉。
△泥をこすり落とす/把泥土搓〔蹭〕掉。
△あかを擦る/擦污垢。
△やすりで擦る/用锉刀锉。
△目をこすって眠気を覚ます/揉眼睛解困。
△このしみはいくらこすっても取れない/这块污垢怎么搓也搓不掉。
[11]宙①【ちゅう】【名】
(1)空中。(大空。また、地面から離れたところ。)
△宙に浮かぶ。/浮在空中;悬空;上不着天下不着地。
△両足が宙にぶらさがる。/两脚悬空。
(2)背诵。(そらで覚えていること。暗記していること。)
△この詩は宙で言える。/这首诗能够背下来。
△宙に迷う。/彷徨,徘徊。
△辞表の受け手がなくて宙に迷っている。/辞呈没人受理,在那里转来转去。
[12]踏み締める④【ふみしめる】【他动·二类】
(1)用力踩。(力···入れてしっかり踏む。)
(2)踩结实。(踏んでかためる。踏みか···める。)
△雪を踏みしめて道···作る。/踩踏积雪,造出一条小路。
[13]連続◎【れんぞく】【名】
(1)接连,连续。(次々につながり続く、また続けること。)
△休みが連続する/假日连上。
△火事が連続して起こる/连续发生火灾。
△彼の欠席は連続2か月におよんだ/他连续缺席达两个月。
△連続興行/连续演出。
△連続物/[小説の]连载小说;[映画の]系列影片。
(2)连续··(関数の特徴の一つだ。)
△··続関数/连续函数。
△連続ス··クトル/连续光谱。
[14]ふかふか①②◎【ふかふか】【副】【形动】【自动·三类】
松软··。暄腾腾地鼓起来的样子。(柔らかくふくれている形容。)
△ふかふかしたふとん。/暄腾腾的被子。
△ふかふかのパン。/(又)暄(又)软〔暄腾〕的面包。
△木がふかふかにふやける。/木头泡涨了。
△このいすはふかふかして気持ちがいい。/这个椅子暄和,坐着舒服。
[15]石ころ③④【いしころ】【名】
石块,小石子儿。(いしくれ···小石。)
△赤い小石。/红色···石头。
[16]ごろごろ①【ごろごろ】【副·自动·三类】
(1)雷。(车轮··雷的响声)呼隆呼隆。(雷声)隆隆。咕隆咕隆。咕噜咕噜。(雷がとどろき渡る音。また、それに似た音。幼児語で、雷。)
△ごろごろ様。/雷公。
△雷がごろごろ鳴る。/雷声隆隆。
△おなかがごろごろ鳴る。/肚子(饿得)咕噜咕噜地响。
(2)(大东西滚动的声音和状态)咕噜咕噜。滚动(的样子)。(重量のある固いものが引っ掛かるように転がっていく音。また、そのさま。)
(3)满处都是。···处都有。到处皆是。(大きな固いものがあちこちに転がっているさま。また、数多く存在していて珍しくないさま。)
△石··ごろごろして歩きにくい道。/到处都是石头的难走的路。
(4)闲呆。无所事事。(人が怠けて何もしないでいるさま。)
△ベッドの上でごろごろしている。/醒着躺在床上。
△失業して毎日ごろごろしている。/失业了,每天闲呆着〔无所事事〕。
△日曜には家でごろごろしている。/星期天在家里闲呆着。
(5)(異物が触れて違和感があるさま。)
△目にごみが入ってごろごろする。/眼睛进了灰,直磨得慌。
[17]繁る②【しげる】【自五】
草木繁茂
[18]ふかふか①②◎【ふかふか】【副】【形动】【自动·三类】
松软··。暄腾腾地鼓起来的样子。(柔らかくふくれている形容。)
△ふかふかしたふとん。/暄腾腾的被子。
△ふかふかのパン。/(又)暄(又)软〔暄腾〕的面包。
△木がふかふかにふやける。/木头泡涨了。
△このいすはふかふかして気持ちがいい。/这个椅子暄和,坐着舒服。
[19]泥んこ◎①【どろんこ】【名】
泥,满是泥,全身沾满了泥。···泥。また、泥だらけなさま。)
△雨で道が泥んこになる。/因为下雨道路上都是泥。
[20]地形◎【じぎょう】【名】
(1)打地基。(「地業」とも書く。建物の柱や礎石を支えるための地固め。)
(2)基础工程。(「地業」とも書く。建物)の基礎を支えるために地盤に対して行う潜函などの工事。)
(3)地形。(土地の様子。)
△複雑な地形。/复杂的地形。
[21]直径◎【ちょっけい】【名】
直径。(円または球の中心···通って円周または球面上に両端をもつ線分。また、その長さ。さしわたし。)
△直径30センチのなべ。/直径三十厘米的锅。
△その木は直径3メートルある。/那棵树直径有三米。
[22]凸凹◎【でこぼこ】【名·形動·自动·三类】
(1)凹凸不平,坑洼不平。(物の表面に起伏があって平らでないこと。)
△凸凹の土地。/凹凸不平的土地。
△道が凸凹して歩きにくい。/路坑洼不平,不好走。
(2)不平均。(多い少ないがあって不揃いであるさま。)
△給与の凸凹をならす。/调整工资的高低不均。
△生産高は所によって凸凹がある。/产量因地区不同而有高有低。
[23]小石◎【こいし】【名】
碎石,小石子儿。(小さい石。···
△小石を敷いた道。/铺着小···子儿的路。
[24]枯れ枝◎【かれえだ】【名】
枯枝;干树枝
[25]難渋◎【なんじゅう】【名·形动·自动·三类】
(1)不顺利,梗阻,艰涩。(すらすらと事が進まないこと。)
(2)困难,困苦。(なやむこと。難儀。また、貧乏。)
△道が悪くて難渋した。/道路不好可吃力了。
△病気で難渋する。/苦于疾病。
[26]アリ◎【あり】【名】
(1)アリの···(あな)から堤(つつみ)も崩(くず)れる。/千里之堤,溃于蚁穴。
(2)アリの甘(···ま)きに付(つ)くが如(ごと)し。/屎壳郎滚粪球。蝇营狗苟。
(3)アリの思(おも···いも天(てん)に届(とど)く。/有志者事竟成。
(4)アリの熊野(くまの)参(まい···り。/(将蚂蚁的队伍比喻成参拜神社人们的行列)鱼贯而行。
(5)アリの塔(とう)を···(く)む如(ごと)し。/众志成城。铁杵成针。
[27]ミリ①【ミリ】【名】【法】milli
(1)千分之一。(1000分の1を表す単位。)
△ミリ·グ··ム。/毫克。
[28]すなつぶ【砂粒】
沙粒?
[29]落ち葉①【おちば】【名】
落叶。散落的树叶,亦指从树枝···下去的叶子。(散って落ちた木の葉。また、木の枝から落ちていく葉。)
△落ち葉色。/枯叶色。
[30]立ち往生③【たちおうじょう】【名·自动·三类】
(1)站着死去。〔立ったまま死ぬ。〕
(2)进退不得,不能动,抛锚。〔動けない状態。〕
△列車は吹雪のため立ち往生した。/火车因大风雪而抛锚了。
(3)进退维谷,进退两难;呆立。〔進退きわまる。〕
△やじられて演壇で立ち往生した。/被(听众)喝倒彩呆立在讲台上。