「あなたの目標は何かしら。」
彼はおそらく何百回と聞かれているであろう質問に、一瞬の間を置いた[1] 。そして、言った。
「自分がイメージしているプレーヤーに近づくことです。」
私は「あッ!」と思った。そして次の瞬間、叫ぶように言っていた。「わかった。私は野球はわからないけど、あなたの思いはわかった。あなたの目標は『絶対値[2] 』なのね!」
それに対して彼の返してくれた笑顔を、私は今もって忘れられない。「そうです。わかってもらえて嬉しいです。」
本当に嬉しそうに言う彼に、私はたたみかけた。
「あなたの目標が『絶対値』だとわかれば、三冠王[3] をめざしますかとか、大リーグ[4] に行きたいかとか、そういう質問は出ないはずよね。」
「ええ。でも言ってもわかってもらえないと思うから、面倒くさくなって、三冠王をめざしますとか何割打ちたいとか、口から出まかせ[5] に答えちやうんです。でも、本当はそんなことが目標じやないです。」
この時、私は本当の求道者[6] を見たと思い、感服[7] したのである。具体的な数字や、他の選手と比べての相対的な目標ではなく、自分の中に理想とするプレーヤー像をイメージし、それに近づいていくことが、彼の目標なのである。「理想とするプレーヤー像」は、つまり彼にとっての「絶対値」である。
これはもうとてつもない目標であり、これを口にする二十代の若者の、何と頼もしくも深い思いであることか。
[1]間を置く【まをおく】
(词组)留出间隔、留出时间
[2]絶対値【ぜったいーち】
绝对值
[3]三冠王【さんかんおう】
〈野球〉(在同一比赛季度里独自取得击球冠军、本垒打次数冠军、击球的跑垒得分冠军的)三项冠军.【名】
三项冠军健将
[4]リーグ①【りいぐ】
【名】【英】league
同盟,联盟,联合会,竞赛联盟(競技団体などの,連盟·同盟)。
△セントラルリーグ。/中央联盟。
[5]口から出任せ:无责任心的,不值得信任,胡编乱造。
[6]求道者③【きゅうどうしゃ】
【名】
求道者;修道者
[7]感服【かんぷく】
【名·自サ】
钦佩,佩服。(深く感心して、尊敬·尊重の気持ちを抱くこと。)
△勇気ある態度に感服する。/佩服你的勇气。
想不明白为什么作者用【绝对值】来作比喻作者的目标
感觉这个“绝对值”与数学上的“绝对值”不太一样啊…..
应该是选手的目标…
不可按术语解释,而应该理解为“自己的极限”。
明白了 十分感谢