京都のご老人は、「天皇は、ちょっと東京に行ってはるだけ」という感覚を今も持っている、という話を聞いたことがあります。「本当だったら京都が首都」という意識が、そこにはあるのだと思う。
確かにそれもごもっともですが、私は「首都が東京になっていてよかった」とも思う者。もし首都が京都のままだったら、戦時中は空襲[1] に狙われたでしようし、戦後はバンバン[2] 開発されまくっていたでしょう。京都中が今の京都駅のような感じになっていたかもしれないのです。首都という汚れ役[3] を東京が担ったからこそ、京都はギリギリのところで「奥」を「奥」のままに保つことができたのではないか。……とはいえ、もしも京都が首都であり続けたら、日本はもっと違う国になっていたであろうなぁという気もするのですが。
日本中の県庁所在地が「小東京」と化している今、京都だけはあくまで京都なのであり、それどころか日本中に「小京都」と名乗る[4] 土地を従えています。東京の人が京都に魅力を感じるのは、そこがあくまで都市でありつつも小東京ではないから、なのです。
「都と京」(『小説新潮』2004年8号)による
[1]空襲◎【くうしゅう】
【名】【他动·三类】
空袭。(航空機で地上目標を襲撃すること。)
△空襲にあう。/遭到空袭。
△空襲を行う。/进行空袭。
[2]万万◎③【ばんばん】
【副】
(1)万也(不会);决(不至于)。(あとに打ち消しのことばをともなって、「よもや…ない」「万が一にも…ない」という意味を表わす。)
△そんなことは万万あるまい。/那样的事绝对不会有。
(2)全,一切;充分地。(よくよく。十分に。)
△万万承知いたしました。/我完全了解了。
[3]汚れ役【よごれやく】
扮演下等人物的角色
[4]名乗る②【なのる】
【自动·他动·一类】
(1)自报姓名。(自分の名を相手に言う。)
△なにものだ、名を名のれ。/谁!报上名来!
△名のり合う。/互通姓名。
△名のって出る。/自我介绍,自己站出来,投案'自首。
△宿題を忘れた人は名のり出なさい。/忘写作业的人,自己报出名来。
(2)自称,冒称。(自分がその当人である。)
△高木と名乗る。/自称姓高木。
△警察の者だと名のってだます。/自称公安人员来骗人。
△山本と名乗る人がたずねてきた。/有一个自称姓山本的人来了。
(3)作为自己的名。(自分の名とする。)
△母方の姓を名乗る。/称母亲的姓。