料理の皿数が増えるにつれて、首筋[1] から酔っぱらってきた。
「ツェベクマさん、人生は長いですか。」
と、私が言いだしたころには、相当酔ってしまっていたに違いない。
「短いですね。」
彼女は、言下[2] に言った。もう五十になった、と彼女は言う。色白[3] だから四十そこそこ[4] の感じなのだが、数字というのは無残[5] なものだ。しかしなお彼女は英気[6] 潑剌[7] としている。私がそのように言うと、彼女は、自分もそう思ってはいる、しかし気力のある間に娘に受け渡しておかねばならない、と言った。
「何をですか。」
「私のモンゴルについての想い。私の持っている小さな教養[8] 。日本語も含めてです。それに私が娘のころに身につけたお行儀。そして、もうずいぶん娘に語ってきましたが、娘に、あなたの父親がいかにすばらしい人であったかということ。……お酒、もっと召し上がりますか。」
彼女は、照れたらしい。
私は彼女の話を聞きながら、チミドという現代詩人の「我はモンゴルの子」という詩を、せきあげるような勢いで思い出した。この詩は、田中克彦氏著の『草原と革命』で知った。
アルガルの煙たちのぼる
[1]首筋◎【くびすじ】
【名】
(1) 脖颈。颈的后侧。(首の後ろ側。えりくび。くびねっこ。)
△ 首筋をつかむ。/抓住后颈。
[2]言下①【げんか】
【名】
言下,话说完后的瞬间。(言葉の終わるか終わらぬかの時。言い終わってすぐ。ごんか。)
△言下に答える。/话一说完就回答了。
[3]色白◎【いろじろ】
【名·形动】
皮肤白(的人),白净。(肌の色の白いこと。)
△色白な女。/皮肤白的女人。
[4]そこそこ【そこそこ】
大约,左右.
当時赤軍は4個連隊そこそこであった/当时红军只有四个团左右.
△いずれも20歳そこそこの青年労働者です/都是二十岁上下的青年工人.大约,左右草草了事,慌慌张张
[5]無残①【むざん】
【名】【形動】
△放逸無残。/无耻放荡。
△破戒無残 。/破戒却不知羞耻。
△二人の仲を無残に引き裂く。/残忍的割裂了二人的关系。
△夢は無残にもついえた。/梦境太过凄惨。
[6]英気◎①【えいき】
【名】
英气,才气,活力,精力。(いきいきと働こうとする気力。元気。すぐれた気性。才気。)
△英気の持ち主。/有才气的人。
△英気を養う。/养精蓄锐。
[7]溌剌◎【はつらつ】
【形动】
活泼,精力充沛。(きびきびとして元気のよいさま。)
△溌剌たる新入社員。/精神充沛的新职员。
[8]教養◎【きょうよう】
【名】
(1)教育。(教え育てること。)
(2)修养;教养;文化;学识;素养。(学問·芸術などにより人間性·知性を磨き高めること。その基礎となる文化的内容·知識·振舞い方などは時代や民族の文化理念の変遷に応じて異なる。知識·品位。)
△教養のある人。/有教养的人;有文化的人。
△教養に欠ける。/缺乏教养。
△教養を高める。/提高文化。
△教養が深い。/教养深厚。
△教養を身につける。/修养;学习文化。
△教養課程。/基础课。
△教養学部。/(大学的)教养学院;教养系。
[9]牧人【ぼくじん】
牧人.
[10]広野【ひろの】
【名】
广袤的野地。旷野。(広い野。広野原。)
△広野で草を摘む。/在原野上拔草。
[11]揺籃◎【ようらん】
【名】
(1)摇篮。(ゆりかご。)
△揺籃歌。/摇篮曲。
(2)〔発展の初期段階〕发源,初级阶段。(幼児期。また、物事が発展する初めの時期や場所。)
△会社の揺籃期。/公司的初创时期。