《日语综合教程》第六册 第十課 読み物 絶対値

    「あなたの目標(もくひょう)は何(なに)かしら。」

    彼(かれ)はおそらく何百(なんひゃく)回(かい)と聞(き)かれているであろう質問(しつもん)に、一瞬(いっしゅん)の間(ま)を置(お)いた[1] 。そして、言(い)った。

    「自分(じぶん)がイメージしているプレーヤーに近(ちか)づくことです。」

    私(わたし)は「あッ！」と思(おも)った。そして次(つぎ)の瞬間(しゅんかん)、叫(さけ)ぶように言(い)っていた。「わかった。私(わたし)は野球(やきゅう)はわからないけど、あなたの思(おも)いはわかった。あなたの目標(もくひょう)は『絶対(ぜったい)値(ち)[2] 』なのね！」

    それに対(たい)して彼(かれ)の返(かえ)してくれた笑顔(えがお)を、私(わたし)は今(いま)もって忘(わす)れられない。「そうです。わかってもらえて嬉(うれ)しいです。」

    本当(ほんとう)に嬉(うれ)しそうに言(い)う彼(かれ)に、私(わたし)はたたみかけた。

    「あなたの目標(もくひょう)が『絶対(ぜったい)値(ち)』だとわかれば、三冠王(さんかんおう)[3] をめざしますかとか、大(だい)リーグ[4] に行(い)きたいかとか、そういう質問(しつもん)は出(で)ないはずよね。」

    「ええ。でも言(い)ってもわかってもらえないと思(おも)うから、面倒(めんどう)くさくなって、三冠王(さんかんおう)をめざしますとか何(なん)割(わり)打(う)ちたいとか、口(くち)から出(で)まかせ[5] に答(こた)えちやうんです。でも、本当(ほんとう)はそんなことが目標(もくひょう)じやないです。」

    この時(とき)、私(わたし)は本当(ほんとう)の求道(きゅうどう)者(しゃ)[6] を見(み)たと思(おも)い、感服(かんぷく)[7] したのである。具体(ぐたい)的(てき)な数字(すうじ)や、他(た)の選手(せんしゅ)と比(くら)べての相対(そうたい)的(てき)な目標(もくひょう)ではなく、自分(じぶん)の中(なか)に理想(りそう)とするプレーヤー像(ぞう)をイメージし、それに近(ちか)づいていくことが、彼(かれ)の目標(もくひょう)なのである。「理想(りそう)とするプレーヤー像(ぞう)」は、つまり彼(かれ)にとっての「絶対(ぜったい)値(ち)」である。

    これはもうとてつもない目標(もくひょう)であり、これを口(くち)にする二十(にじゅう)代(だい)の若者(わかもの)の、何(なん)と頼(たの)もしくも深(ふか)い思(おも)いであることか。

 [1]間を置く【まをおく】

（词组）留出间隔、留出时间

 [2]絶対値【ぜったいーち】

绝对值

 [3]三冠王【さんかんおう】

〈野球〉（在同一比赛季度里独自取得击球冠军、本垒打次数冠军、击球的跑垒得分冠军的）三项冠军.【名】

三项冠军健将

 [4]リーグ①【りいぐ】

【名】【英】league

同盟，联盟，联合会，竞赛联盟（競技団体などの，連盟·同盟）。

△セントラルリーグ。／中央联盟。

 [5]口から出任せ：无责任心的，不值得信任，胡编乱造。

 [6]求道者③【きゅうどうしゃ】

【名】

求道者;修道者

 [7]感服【かんぷく】

【名·自サ】

钦佩，佩服。（深く感心して、尊敬·尊重の気持ちを抱くこと。）

△勇気ある態度に感服する。／佩服你的勇气。

 知识共享署名-非商业性使用-相同方式共享：码农场 » 《日语综合教程》第六册 第十課 読み物 絶対値