自然は厳しいという言葉の内容をよく考えてみれば、社会は甘いという裏が見えてくる。人間は社会という名の相互援助[1] システムを営々[2] と築きあげて[3] 、めった[4] なことでは個人が脱落[5] しないようにした。結構なことだが、それに安心してただ寿命[6] が伸びて単純な快楽で日々を満たすことができるのをだらしなく[7] 享受[8] しているわれわれではないか。個人としてリスクを負うことも、個人としての力量[9] を問われることもほとんどないのが今の平地[10] の生活。それを山的なるものの不足[11] と感じるのだ。山に行けば自分の基礎体力以外に頼れるものは何もない。それも、数字では決して表記[12] できない種類の、精神的なものも含めた総体[13] としての体力。そしてことに応じる判断力。大袈裟[14] に言えば、荒野[15] で1人で生きてゆく基礎的な能力のすべて。それを発揮[16] したその先で、湿原に咲く花々や心地よい疲労と達成感[17] 、おいしい昼食[18] などが待っていてくれるからこそ、人は山に向かうのだ。
遊歩道はそれなりによかったが、麓まで行って登らなかった山は後々[19] まで気になる。もう一度なんとか夏休みを工面[20] して、この山を再訪[21] し、かならず山頂をきわめて[22] 湿原の池塘のまわりを歩こうと思いながら、帰途[23] についた。
「STUDIO VOICE」(1992年9月号)による
[1]援助①【えんじょ】
【名·他动·三类】
援助,帮助处于困境的人。(助けること。)
△海外援助計画。/对外援助计划。
△援助を求める。/求援。
△援助の手をさし伸べる。/伸出支援之手。
△幸い友人が援助してくれたので助かった。/幸好朋友给帮了忙。
△援助資金。/援款。
[2]営営◎【えいえい】
【形动】
孜孜不倦,忙忙碌碌。(せっせと一生懸命に働くさま。)
△営営と家業にはげむ。/孜孜不倦地经营祖业。
[3]築き上げる③【きずきあげる】
【他动·二类】
(1)筑成,建成。(土石 などを積み上げて、建造物を完成させる。)
△城砦を築き上げる。/建成城寨。
(2)(通过努力)得到,收获。(努力により、名誉·財産や組織などを作り上げる。)
△苦労を重ねて築き上げた会社。/千辛万苦开设的公司。
[4]滅多①【めった】
【名·形动】
(1)胡乱,鲁莽。(わきまえのない。)
△子どもの前で滅多なことはしゃべれない。/当着孩子可不能乱讲话。
△滅多なことをしてはいけない。/不要胡来。
(2)不常,不多,稀少。(ごくまれ。)
△こんな事故は滅多にない。/这种事故很少有。
△わたしは病気のため休んだことは滅多にない。/我很少因病请假。
[5]脱落◎【だつらく】
【名·自动·三类】
(1〕漏掉,脱落。掉落必要的部分。〔必要なものが抜け落ちること。)
△文字の脱落がないか調べる。/审查有无掉字。
△50ページが脱落している。/脱落了五十页。
(2)脱离,掉队。跟不上同伴。(仲間についていけなくなること。)
△練習がきびしいので脱落する者があとをたたない。/练习太艰苦了,掉队的人接连不断。
△グループから脱落した。/脱离了小组。
[6]寿命◎【じゅみょう】
【名】
(1)寿命(生物のいのち。生命の長さ。命数)。
△人間の平均寿命/人的平均寿命。
△寿命で死ぬ/寿终正寝。
△寿命が尽きる/寿命已到。
△寿命が長い/寿命长。
△人の寿命が延びた/人的寿命延长了。
△寿命の縮まる思いをする/被吓得简直要死。
△激務で彼は寿命を縮めている/繁重的工作在缩短着他的寿命;他被繁重的工作折磨得要死。
(2)耐用期限(物が使用にたえる期間)。
△自動車の寿命/汽车的使用年限。
△あと1年の寿命/只剩一年的寿数。
△この冷蔵庫はもう寿命だ/这个电冰箱寿数已尽。
△寿命の長い電気製品/持久耐用的家用电器。
[7]だらしなく【だらしなく】
邋遢的;吊儿郎当;不修边幅;痞里痞气
[8]享受①【きょうじゅ】
【名·他动·三类】
(1)享有;归己所有(自分のものとすること)
△利益を享受する/享有利益。
(2)享受;对艺术等的欣赏(精神的な面で味わい楽しむこと)
△自由を享受する/享受自由。
△大自然の美を享受する/享受大自然的美。
[9]力量◎②【りきりょう】
【名】
(1)能力,本领。(能力の程度。腕前。)
△力量を示す。/显示本领。
△力量を試す。/试验能力。
△彼は社長としての力量に乏しい。/他缺乏当总经理的能力。
△わたしの力量の及ぶところでない。/(那)不是我能办得到的。
(2)力量,体力。(力の強さの度合。)
△わざも力量もない。/既无技巧,又无力量。
[10]平地②【ひらち】
【名】
平地。(起伏のない平らな土地。へいち。)
△ならして平地にする。/弄成平地。
[11]不足◎【ふそく】
【形動·名·サ変動】
(1)〔足りない〕不够,不足,短缺;缺乏。(足りないこと。)
△睡眠不足/睡眠不足。
△人手が不足する/人手不够。
△不足の点がない/没有不足之处。
△この手紙は郵便料が不足です/这封信邮资不足。
△いくら切りつめても不足が出る/无论怎么节约还是不够。
△何不足もない家に生まれる/生在无忧无虑的家。
△3人で使うには不足だ/不够三个人用。
(2)〔不満〕不满,不平。(満足しないこと。)
△いろいろと不足を言う/说种种不满意的话。
△不足そうな顔つき/不满意似的神情。
△彼なら相手に不足はない/他当对手正合适。
[12]表記①【ひょうき】
【名】【他动·三类】
(1)表面记载(おもてに書き記すこと。また,その文字。おもて書き)。
△表記の金額/表面所记金额。
△手紙の表記をきちんと書く/准确无误地写清楚信的封皮。
(2)标明〔明示する〕。
△価格表記の郵便物/标明价格的邮件;保价邮件。
△表記価格/申报价格。
(3)写,记载(文字や記号で書き表すこと)。
△単語の発音を発音表記で示す/单词的发音用音标表示。
△表記法/书写法。
[13]総体◎【そうたい】
【名】
总体,全体。(物事のすべて。全体。)
△総体に気を配る。/注意全局。
△総体合格率が高い。/大体上及格率还算高。
[14]大袈裟◎【おおげさ】
【形動】
(1)夸大,夸张。(実際より誇張していること。おおぎょう。)
△大袈裟な言葉/大话;吹牛。
△すこし大袈裟に言えば/如果稍微夸大〔严重〕一点说。
△大袈裟に書きたてる/大事宣扬;大书特书。
△大袈裟にふいちょうする/大吹大擂。
△彼はいつも大袈裟にものを言う/他总是夸大其词。
(2)铺张、小题大做『成』。(必要以上に仕掛けの大きいこと。)
△大袈裟な結婚披露宴はよしたほうがいい/大肆铺张的结婚喜宴还是不办的好。
△なんでも大袈裟にするのはあの人のくせだ/什么事儿都要小题大做是他的老毛病。
[15]荒野①【こうや】
【名】
荒野。(あれはてた野原。あれの。)
△無人の荒野。/无人的荒野。
△荒野をさまよう。/在荒野上徘徊。
[16]発揮◎【はっき】
【名·他动·三类】
发挥,施展。(能力を隠す所なく示すこと。)
△平素の力が発揮できない。/平素的力量施展不出来。
△腕を発揮するのにちょうどよい機会だ。/正是大显身手的好机会。
△才能を発揮する。/发挥才能。
[17]達成感③【たっせいかん】
【名】
成就感。(ものごとを成し遂げたことによって得られる満足感。)
△達成感のある仕事。/有成就感的工作。
[18]昼食◎【ちゅうしょく】
【名】
午饭;午餐。(ひるめし。)
△昼食をとる。/吃午饭。
[19]後後◎【のちのち】
【名·副】
将来,之后。(それよりずっとあと。また、これから先。将来。)
△後後困るのよ。/以后不好办啊。
[20]工面①◎【くめん】
【名·他サ】
(1)设法,筹措,筹划。筹(款),筹措(款子),设法弄钱。(必要な金銭·品物などを、やりくりしてそろえること。)
△なんとか工面してみよう。/想想办法看吧。
△金の工面がつかない。/弄不到钱。
△旅費を工面する。/筹措旅费〔盘缠〕。
△10万円ほど工面してくれ。/借给我十万来日元。
(2)资金周转。经济情况,手头情况。(金のやりくり。金まわり。)
△工面がよい。/手头宽裕;资金周转灵活。
[21]再訪【さいほう】
【名】【自サ】
再次造訪
[22]極めて②【きわめて】
【副】
极为,极其,非常。(この上なく。甚だ。)
△極めて重要な問題。/极其重要的问题。
△その問題は極めて解決しにくい。/那个问题极为难以解决。
△極めて大きな貢献。/极大的貢献。
△(物事が)極めて複雑だ。/极其复杂。
△(良否が)極めてはっきりしている。/泾渭分明。
△極めてわずかである。/少得可怜,微乎其微。
△極めて少なくて貴いもの。/凤毛麟角。
△極めて残虐で非人間的な行動。/极其惨无人道的行径。
△極めて密接な関係にある。/彼此息息相关,唇亡齿寒。
[23]帰途①【きと】
【名】
归途。(帰りみち。帰路。)
△帰途につく。/踏上归途。