きいてみたら、
「蚊やブヨがいてこそ鳥がやってきますよ。すずめの来ない竹藪は寂しいでしよう。」
との答えだった。成都は竹の都と言っていい。百貨店[1] をのぞいても、いすから机から、一切の生活用具に竹製が多く、しかもそれが安かった。器用[2] に編み込まれた[3] 紋様入りのフタつき[4] 大かごが千円もしない。赤ちゃんが竹製の乳母車[5] で押されてゆくのも見た。竹の在所が、長い年月[6] を、竹とともに暮らしている。当たり前のことに感動をおぼえた。
京都の西の京など、昔は竹藪の海だった。そこを開発して、今は巨大都市が誕生している。日本の場合は、根こそぎ[7] 地の皮をめくる[8] みたいに、竹を切り殺して[9] 、造成[10] に取りかかる。それゆえ、町ができても、そこに、成都のようないくつかの竹の生木[11] をかたまり[12] とした、歩道も、アプローチ[13] もない。殺風景[14] だ。竹が号泣[15] している気がする。
「松のことは松に習へ、竹のことは竹に習へ。[16] 」と言ったのは昔の俳聖[17] である。僕ら門外漢[18] には、竹の嘆きを深く聞く才覚[19] はないが、七日も煮て、三日も水車臼でついて竹餅を作っていると、青竹[20] だった生命がもう一つの生命に化身[21] してゆくすばらしさが見えてくる,そうして、その竹がどのような歴史を生きたかについても考えさせられる。在所の藪のありかはだいたいわかっているので、そこの持ち主の長男[22] で、戦死[23] した同級生のことや、もちろんこれも冥界[24] の人だが話好きだった親爺さんの黒い脂ぎった[25] 顔などまで思い出されてくる。僕は、このごろ自然というものは、やっぱり頑固に守らないと、歴史が崩れるような気がする。身近の作業の日常が、そんな思いにさせるのである。
[1]百貨店③◎【ひゃっかてん】
【名】
百货商店,百货大楼,百货公司。在宽敞的销售大厅里,分门别类陈列和销售多种商品的大规模零售商店。(単一の企業が複数の分野の専門店を統一的に運営し、面積の広い大規模の店舗で多種類の商品を展示陳列して販売する小売店のことである。)
△東急百貨店。/东急百货。
[2]器用①【きよう】
【名形動】
(1)巧,灵巧;精巧。(細かい仕事を巧みにやり遂げること。)
△器用な人/手巧的人。
△器用な細工/精巧的工艺品。
△器用にこなす/灵巧掌握。
△彼は器用な男でなんでもできる/他手巧,什么都会搞。
(2)巧妙,精明。(何事をも巧みにやり遂げる。要領よく立ち回ること。)
△社内で器用に立ち回る/善于处理公司内部关系。
△なかなか器用なことをやるね/你真精明啊!
[3]編み込む【あみこむ】
[動マ五(四)]編み物で、模様を入れて編む。また、異なる素材を入れて編む。「金糸を編み込む」
[4]ふた‐つき【蓋付】
器物に蓋がついていること?また?その器物?
[5]乳母車③【うばぐるま】
【名】
婴儿车,婴儿手推车。(乳幼児を乗せて押して歩く四輪の手押し車。)
△日本に初めて持ち込まれたとされる乳母車が、慶応義塾福沢研究センターに所蔵されている。/最早流传到日本的婴儿车收藏在庆应私塾大学福泽研究中心。
[6]年月①【ねんげつ】
【名】
年月,岁月,光阴。(としつき。)
△年月が経つにつれてその価値も変わった。/随着时间的经过它的价值也有了变化。
△長い年月を費やした。/费了很长的年月〔时间〕。
△相当の年月がかかる。/需要相当长的岁月。
△年月を重ねる。/经年累月。
[7]根こそぎ◎【ねこそぎ】
【副】
全部,一点不留地。(すべて,きれいさっぱり,ひとつのこらず。同すっかり。)
△根こそぎにする。/根除。
△根こそぎ持って行く。/全部拿走。
△身代を根こそぎなくした。/把财产全花光了。
△根こそぎ一掃された。/全部一扫而光,从根本上消除了。
△根こそぎに害虫を退治する。/彻底消灭害虫。
[8]めくる②【めくる】
【他动·一类】
翻。(巻くようにして下を表す。)
△ページをめくる。/翻书页。
△辞書をめくる。/翻开辞典。
△トランプをめくる。/翻纸牌。
△うすかわをめくる。/揭下薄膜。
△床板をめくる。/揭开地板。
△屋根をめくる。/揭掉房顶。
△カレンダーを1枚めくる。/揭下一张日历。
[9]切り殺す◎④【きりころす】
【他动·一类】
斩杀,杀死。(刃物で切って殺す。)
△一刀のもとに切り殺す。/被刀砍死。
[10]造成◎【ぞうせい】
【名·他サ】
造成,修成,做成。(土地などを使えるようにつくりあげること。)
△宅地を造成する。/平整盖房用地。
[11]生木【なまき】
(1)〔地に生えている〕地上长的树木.
(1)〔地に生えている〕地上长的树木.
(2)〔切ってまもない〕刚砍下未干的树,未干的木柴.
[12]塊◎【かたまり】
【名】
(1)块儿;疙瘩。( 固まること。また、固まったもの。)
△氷の塊。/冰块;冰疙瘩。
△石炭の塊。/煤块。
(2)群,集团,堆。〔 一団となったもの。集団。〕
△羊の塊。/羊群。
△ひと塊の学生。/一群学生。
△あそこにひと塊ここにひと塊。/那边一群这边一伙。
(3)极端……的人de,执迷不悟(的人)。〔こり固まった人。〕
△欲の塊。/极端贪婪的人。
△あいつはけちの塊だ。/他是一个吝啬鬼.块儿,疙瘩,群,集团。
[13]アプローチ③【あぷろーち】
【名·サ変自】【英】(approach)
(1)接近,靠近。(接近する。)
(2)探讨,研究。(学問·研究などの、対象に接近すること。また、接近のしかた。研究法。 )
(3)滑行引道。(スキーのジャンプ競技や陸上競技の走り幅跳びで、スタートから踏み切るまでの間。)
(4)向穴的附近靠球。(ゴルフで、グリーン上のホールをめがけて打つ寄せ打ち。アプローチ–ショット。)
(5)〔建物の寄りつき〕大门前。(道路·門から建物·玄関口までの通路または導入室間。)
△玄関のアプローチ/大门前的通道。
(6)目的山行程。(登山で、目的の山の山域に至るまでの行程。)
[14]殺風景②【さっぷうけい】
【名】【形動】
(1)杀风景,缺乏风趣,不风雅,粗俗。( おもしろみも飾りけもなく、興ざめがすること。また、そのさま。無風流。)
(2)扫兴,生厌。(眺めに情趣が欠けていたり単調だったりして、見る者を楽しませないこと。また、そのさま。)
△殺風景な冬の浜辺。/扫兴的冬天的海边。
[15]号泣◎【ごうきゅう】
【名】【自动·三类】
号泣。号哭。号啕大哭。(大声をあげて泣くこと。)
△悲報に号泣する。/收到噩耗后号啕大哭。
[16]松のことが知りたければ、松に聞けばいい。
竹のことが知りたければ、竹に聞けばいい。
人に聞くよりも、直接その物に向き合った方が、物の本質は見えてくるものである。
[17]俳聖◎【はいせい】
【名】
俳圣,卓越的俳句诗人。(古今に並ぶ者のないすぐれた俳諧の作者。特に、松尾芭蕉をいう。)
△俳聖芭蕉。/卓越的俳句诗人松尾芭蕉。
[18]門外漢③【もんがいかん】
【名】
(1)门外汉,外行。(その物事について専門家でない人。畑違いの人。)
△経理については門外漢だ。/对财会一窍不通。
(2)局外人,无关者。(第三者。)
[19]才覚◎【さいかく】
【名】【他サ】
(1)才智,机智,机灵。(すばやく頭を働かせて物事に対応する能力。知恵の働き。)
△才覚のある人。/有机智的人;足智多谋的人。
(2)计划,计策,主意。(工夫すること。また、すばやく頭を働かせて物事を処理すること。)
△お金の才覚がつく。/筹款。
(3)筹措。(金をあつめること。)
△金の才覚をつける。/设法筹款。
△金の才覚がつかない。/筹措不到款项;筹不到钱。
[20]青竹【あおだけ】
(1)青竹,绿竹.
(1)青竹,绿竹.
(2)〔染料〕孔雀绿.【名】
[21]化身◎【けしん】
【名】
(1)化身。(神仏が教化のために人間その他の姿を取り、この世に現われたもの。また、その姿。)
△悪魔の化身。/魔鬼的化身。
(2)神佛,鬼怪(的脸谱)。(歌舞伎で、化け物などのこと。また、それに扮するときの隈取り。)
△化身事。/鬼怪(出场的)戏剧。
[22]長男①【ちょうなん】
【名】
长子,大儿子;老大。(同胞の男子の中で、一番上のもの。)
△長男としての責任。/长子的责任。
[23]戦死◎【せんし】
【名】【自动·三类】
阵亡。(戦いに参加して死ぬこと。)
△戦死者。/阵亡者。
[24]冥界【めいかい】
冥界,幽冥,阴间.【名】
冥界;阴间(同めいど)
[25]脂ぎる④【あぶらぎる】
【自动·一类】
(1)油光发亮,油脂、油腻。(あぶらで光る。)
△顔があぶらぎっている。/脸上油光发亮。
(2)肥胖。(太っている。)
△あぶらぎった男。/胖男子。
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