また、親猫は、子供が皿の物を食べている間は、離れてじっと待ち、子供 が食べ終わると、その残り物[1] にありつく[2] 。
子猫をたしなめる[3] 際には、親はどんなに柔らかく子供をかみ、つめを引っ込めた[4] 前足[5] でどんなに手加減して子供をたたくか、決して折檻[6] なんかしたりはしない。
「ものいはぬ[7] 四方[8] のけだもの[9] すらだにもあはれなるかなや親の子をおもふ」 という実朝の歌は、実に実に本当のことだ。
そのうえ、かわいそうに、彼らは日夜[10] 人間の文明におびえて[11] いる。掃除機[12] の音にすらびくつき[13] 、頭の上をジェット[14] 機が低空[15] で通り過ぎでもしようものなら、あわてて物陰[16] に隠れ、平身低頭[17] 、身の置きどころがないといった風情[18] で小さくなっている。
人問が生きにくくなれば、彼らもまた生きにくくなるのである。
2
猫が増えてから、家の中のあちこちに、とかげをはじめ、かげろう[19] 、ばった[20] 、かまきり[21] 、はち[22] 、かなぶん[23] 、蝶[24] 、蛾[25] 、こおろぎ[26] 、時にはおけら[27] のようなものまで、小動物の死骸[28] がちらばる[29] ようになった。外で遊べばよいものを、猫にも都合があると見えて、必ず屋内に持ち込んで処理するのだ。
海辺の暖かい草地[30] には、とかげがたくさんいるらしい。猫の手にかかったとかげは、たいていしっぽ[31] がちぎれて[32] いる。これは、猫は食べるのではなく、長い時間をかけておもちやにするのである。相手が猫のつめで負わされた傷で弱り果てて[33] 死んでしまうまで、ちょっとくわえてみたり、前足[34] で突っついて[35] みたり、逃げると追いかけて押さえ込んだ[36] り、両足で挟んで宙にほうり上げた[37] りする。そして、遊び飽きると、その場にほったらかし[38] にして、もう顧みもしない。
[1]残り物◎⑤【のこりもの】
【名】
剩下的东西。(あとに残っている物。)
△残り物に福がある。/抽签莫抢先,该得仍可得;在别人挑剩下的东西里常有意想不到的好东西。
[2]ありつく④◎【ありつく】
【自动·一类】
(好不容易)得到;找到。(待望久しい物がやっと手に入る。)
△仕事にありつく。/好不容易找到工作。
[3]窘める④【たしなめる】
【他动·二类】
责备,教训,告戒。(それはいけないことだと、穏やかに言葉で注意したりしかったりする。)
△強い言葉で非礼を窘めた。/严厉的责备了我的不礼貌。
[4]引っ込める④【ひっこめる】
【他动·二类】
(1)缩入,缩回。(もとへもどす。〕
△手を引っ込める。/缩回手。
△亀が頭を引っ込める。/乌龟缩回头。
(2)撤回。(とりさげる。〕
△要求を引っ込める。/撤回要求。
△最初の案を引っ込めて練り直す。/撤回最初的提案重新推敲。
[5]前足◎①②【まえあし】
【名】
(兽类的)前足;前肢。(獣類の前方の両足。または足を前後に開いたときの、前の方の足。)
△前足を上げる。/提前足。
△前足で地面をかく。/用前脚扒地。
[6]折檻①【せっかん】
【名】【他动·三类】
(1)责备,痛斥。(厳しくしかったり、こらしめの体刑を加えたりすること。)
△子供を折檻する。/痛斥孩子。
(2)责打,打骂。(体罰を与えてこらしめること。)
△折檻を加える。/加以责打。
[7]ものいはぬ…
分類和歌
「物言はぬ四方(よも)の獣(けだもの)すらだにも哀れなるかな親の子を思ふ」
出典金槐集 雑?源実朝(みなもとのさねとも)
[訳] 口をきかない、いたる所にいる獣でさえも、しみじみと胸を打たれることよ。親が子を大切に思うようすには。
鑑賞この歌は、「まして人間ならば、親が子を愛するのは、なおさらのことである」ということを言外に言っている。
[8]四方②①【しほう】
【名】
(1)四方(东西南北);一切方面。(東西南北の四つの方角。)
△四方から来る。/从四面八方来。
△四方八方を探し回る。/到处寻找。
△四方八方から囲まれる。/四面八方被包围。
△四方八方に連絡する。/向各方面进行联系。
(2)四周,周围。〔周囲。〕
△この山の頂上からは50キロ四方が見える。/从这座山顶可以看到周围五十公里。
△四方は全部生け垣だ。/周围都是篱笆。
(3)四海,天下。〔諸国。〕
△四方に適材を求める。/征求海内人才。
(4)四角,方形。〔四角。〕
△3センチ四方。/各边三厘米的正方形。
[9]獣◎【けだもの】
【名】
(1)兽类(全身毛におおわれ,四肢で歩く哺乳動物。特に,野生のもの。けもの)。
△百獣の王ライオン /百兽之王–狮子。
(2)畜生;禽兽(人間らしい心のない人をののしっていう語。人でなし)。
△この獣め/你这个畜生。
[10]日夜①【にちや】
【名·副】
(1)日夜,昼夜。(よるひる。)
△日夜をわかたぬ努力。/日以继夜的努力;不分昼夜的努力。
△日夜働く。/日夜工作。
(2)经常不断地,总是。(いつも。)
△日夜努力を続ける。/经常不断地努力。
[11]怯える◎③【おびえる】
【自动·二类】
(1)害怕,胆怯。(おそれる。こわがる。)
△戦争に怯える。/惧怕战争。
△物音に怯える馬。/易惊的马,胆小的马。
△なんでもないことに怯える。/为一点小事害怕。
(2)梦魇,做恶梦害怕,惴惴不安。(悪夢にうなされる。)
△子どもはなににおびえたのか,わっと泣き出した。/孩子不知道是做了什么恶梦,哇地一声哭起来了。
[12]掃除機③【そうじき】
【名】
除尘器,吸尘器。(ゴミやホコリを容器内に回収する電気製品(清掃用具)である。電気掃除機ともいう。)
△掃除機をかける。/用吸尘器清扫。
[13]びくつく【びくつく】
吓得发抖
[14]ジェット①【ジェット】
【名】【英】jet
(1)喷气,喷射,喷射推进。(ノズルやパイプなどから、連続的に噴出する液体や気体の流れ。噴流。)
(2)喷气式飞机。(ジェット機。)
[15]低空◎【ていくう】
【名】
低空。(空中の低い所。地面や水面に近い空間。)
[16]物陰◎③【ものかげ】
【名】
隐蔽处,背地,暗地。(物に隠れて見えない所。)
△物陰に隠れる。/隐藏在背阴处。
[17]平身低頭◎【へいしんていとう】
【名】【自动·三类】
低头,俯首。(ひれ伏して頭を下げ、恐れ入ること。また、ひたすらわびること。)
△平身低頭して謝る。/低头认错。
[18]風情①◎【ふぜい】
【接尾】
(1)风趣,趣味,情趣,(别有)风格。(風雅な趣。情緒。)
△この庭は風情がある。/这个庭院很雅致。
△風情のあるながめ。/幽雅的风致。
△小雨が風情を添える。/微雨添情趣。
(2)样子,情况。(様子。ありさま。)
△悲しげな風情。/悲伤的样子。
(3)招待,款待。(もてなし。)
△なんの風情もありませんが…/没什么好招待……
[19]かげろう②◎【かげろう】
【名】
蜉蝣;短命,无常。(形はトンボに似て、羽·からだが細くて小さい昆虫。成虫は水辺を飛び、産卵後数時間で死ぬので、短命·はかないことのたとえによく引かれる。)
△かげろうの命。/短暂的生命。
[20]ばった◎【ばった】
【名】
〈动〉蝗虫,蚂蚱,蚱蜢。(バッタ目バッタ上科に属する昆虫の総称。一般に体は細長く、後肢は発達して跳躍に適する。脚と翅とを擦って音を発するものもある。草原にすむものが多く、一部の種は農業上有害で、特に飛蝗ひこうによる被害は著しい。)
[21]かまきり【かまきり】
〈動〉螳螂.螳螂
[22]蜂◎【はち】
【名】
蜂。(昆虫の一種。)
△蜂に刺された。/被蜂子蜇了。
△蜂を1箱飼う。/养一箱蜂。
△蜂がぶんぶんいう。/蜂子嗡嗡地叫。
[23]かなぶん【かなぶん】
〈動〉铜花金龟.
[24]蝶①【ちょう】
【名】
〈動〉蝴蝶。(鱗翅目アゲハチョウ上科とセセリチョウ上科に属する昆虫の総称。体は細長く、はねは葉状で二対あり鱗粉(りんぷん)と鱗毛で美しく彩られる。頭部には棍棒状の触角、一対の複眼と単眼、花の蜜を吸うに適したぜんまい状の口器がある。多くは昼間活動し、ものに止まるときは垂直にはねを立てる。幼虫は芋虫·青虫·毛虫と呼ばれ草木を食うが、やがて蛹(さなぎ)となりさらに成虫になる。多くは繭を作らない。日本には約二六〇種が知られる。蝶類。胡蝶。蝶々。ちょうちょ。)
△蝶よ花よ。/娇生惯养『成』。
[25]蛾【が】
蛾(子)。
[26]こおろぎ【こおろぎ】
〈動〉蟋蟀,蛐蛐儿『方』.蟋蟀,蛐蛐儿
[27]朮【おけら】
〈植〉苍术.
[28]死骸◎①【しがい】
【名】
尸体,尸首,遗骸。(死骸,屍骸。人または動物の死んだ体。死体。なきがら。しかばね。)
△鳥の死骸。/鸟的尸体。
[29]散らばる◎【ちらばる】
【自动·一类】
(1)分散,分布。〔ちりぢりになる。〕
△一度にわっと散らばる。/一下子向四处分散。
△同期の卒業生も今ではほうぼうに散らばっている。/同期的毕业生现在已经分散在各个角落了。
(2)散乱,零乱。〔乱れ広がる。〕
△部屋にかみくずが散らばっている。/屋子里到处是碎纸。
△机の上が散らばっている。/书桌上乱七八糟。
[30]草地【くさち】
【名】
草地,牧草地.
[31]尻尾③【しっぽ】
【名】
(1)尾巴。(動物の尾。)
△尻尾を立てる/竖尾巴;翘尾巴。
△尻尾を垂れる/搭拉尾巴。
△尻尾を巻いて逃げる/夹起尾巴跑开;打退堂鼓溜开。
△犬は主人を見ると盛んに尻尾を振った/狗一看到主人,就不停地摇尾巴。
(2)尾状物。(細長いものの、端。)
△たくあんの尻尾/咸萝卜梢儿。
(3)末尾,末端。(順位の一番後ろ。)
△いちばん尻尾だ/在最后;落在最后。
△あんなことをしていてよく尻尾を出さないものだ/搞那种勾当,竟然还没露出马脚来。
△しまいに尻尾を出すだろう/终究会露出狐狸尾巴来。
△なかなかやつの尻尾がつかめない/总抓不住他的尾巴〔把柄〕。
[32]千切れる③【ちぎれる】
【自动·二类】
破碎,被撕掉。(切れて離れる。ねじられて切れる。きれぎれになる。)
△ずたずたに千切れる。/成了碎片。
△寒くて耳が千切れそうだ。/冻得耳朵都快掉了。
[33]弱り果てる【よわりはてる】
よわりきる
[34]前足◎①②【まえあし】
【名】
(兽类的)前足;前肢。(獣類の前方の両足。または足を前後に開いたときの、前の方の足。)
△前足を上げる。/提前足。
△前足で地面をかく。/用前脚扒地。
[35]突っつく【つっつく】
戳,捅
[36]押さえ込む【おさえこむ】
(1)〈柔道〉压住,按住,扣住(使不能动).
(1)〈柔道〉压住,按住,扣住(使不能动).
(2)控制住.
[37]ほうり‐あ?げる【放り上げる】ハフリ‥
〔他下一〕[文]はふりあ?ぐ(下二)
上に向かって投げる??帽子を―?げる?
[38]ほったらかし◎【ほったらかし】
【名】
不管不顾;置之不理。(高松の方言。中途半端·なおざり·置き去り。)
△仕事をほったらかして遊び歩く。/把工作扔下不管到处闲逛。
△子供をほったらかしにする親。/把孩子放任不管的父母。
好多错的
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