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第二页有解说,不要错过哟^_^)y ——《新编日语阅读文选》第一册
《新编日语阅读文选》第一册
季林根 陆静华编
上海外语教育出版社
クリスマスイブには祖父を思い出す。十二月二十四日が命日だからでもある。
祖父は明治二十四年生まれ、七十八歳で他界した。もう三十年になるか'、当時としては長寿を全うしたと言われた。
真面目で、頑固で、仕事一筋、気位も高かった。典型的な明治人間。家での鎂がきびしかったから、家族からは一様に煙たがられていた。
その祖父が、亡くなるニ年ほど前から老人ボケの兆候をみせはじめた。威厳のある口ひげに触れながら静かに話す口調に変わりはなかったが、いつの間にか話の筋がトンチン力ンになったりした。ついさっき言ったことを何度も聞き返すこともあった。
祖父は若いころから無類のたばこ好きだった。私が小さいころ、祖父に抱かれるとパイプたばこ独特の匂いがした。あれは祖父の匂いであり、香りの記憶として今も忘れられない。
ある日、祖父が置き忘れたパイプたばこの火が座布団にこぼれ、大きな焦げ穴になる事件が起きた。
その騒ぎから間もないころ、父が家族をあつめた。医師と相談した結果でもあるとして、祖父への接し方について、家族に方針を伝えた。
祖父がたばこを吸うときは誰かが目の届く所に居ること、たばこは紙巻に限ること(パイプの失敗をふまえて)、ただし、祖父を絶対に病人扱いせず、普段と同じように接すること、必ずよくなると信じ、皆で心くばりをすること一一であった。
父の本意は、祖父が保ちつづけてきた威厳や誇りを傷つけてはならない、という思いにあった。
この日を境に、祖父に対する母の態度が一変した。
常に祖父の姿が見える距離に身を置いていた。それだけではない。庭や畑での手仕事、帳場(商家だった)での帳簿つけ、倉の整理、家の掃除や簡単な修繕ごとなど、一日じゅう祖父が体を動かすように仕向けていた。
そんな曰々が半年ほど過ぎた。
母は、夫であり、すでに家長の立場にあった父に、言葉を選ぶようにしながら言った。
祖父がパイプたばこを吸うと正気に戻る、というのである。母は禁制を侵した。とを諮ひなからも、祖父がぱイプを吸う許可を得ようとしたのだ。
父はその事実を確かめもしないで、即座に許した。
祖父がパイプの手入れをしたり、悠然とパイプたばこをくゆらすサマには、永年身につけてきたスモーカーの貫禄が備わっていた。正気かどうかを確かめるまでもなく、祖父の表情にも動作にも威厳は戻っていた。
そんな祖父だったが、風邪がきっかけで肺炎になり、一週間ほどの入院であっけなく亡くなった。
歳末のあわただしさの中で葬儀をすませ、正月を迎えた。仏間で、祖父の遺影を前にして、父が家族に話をした。
「みんなのお陰で、父親は寝込むこともなく、最後まで立辦な人生をおくることができた。心から感謝している。とくにキヌ(母の名)、お前には礼の言葉もない」
父が深ぶかと頭を下げた。
母は静かに立ちあがって、仏壇の前へ進んだ。ふところからパイプを取り出して、たばこの葉を詰めると、
「おじいちゃん、一服しましょうか」と語りかけた。
龄六十を過ぎた今、私は自分の老後を考えるようになった。今年のクリスマスイブには、祖父を個、ぶだけでなく、自分のパIイプを磨こうと思っている。
2000.1「文藝春秋」による