翌日、私はサワンの姿が見えないのに気が付きました。
「サワン、出て来い!」
私は狼狽[1] しました。廊下の下にも屋根の上にも、どこにもいないのです。そしてトタン[2] の庇[3] の上には、一本の胸毛[4] が、明らかにサワンの胸毛であったのですが、トタンの継目[5] にささって朝の微風[6] にそよいで[7] います。私は急いで沼池へも行って見ました。
そこにもサワンが居ないらしい気配でした。岸に生えている背の高い草は、その茎[8] の尖端に既に穂状[9] 花序[10] の実をつけて、私の肩や帽子に、綿毛[11] の種子[12] が散りそそいだのであります。
「サワン?サワンはいないか。いるならば、出てきてくれ!どうか頼む、出て来い!」
水底には植物の朽ちた[13] 葉が沈んでいて、サワンは決してここにもいないことが判明[14] しました。おそらく彼は、彼の僚友[15] たちの翼に抱えられて、彼の季節向きの旅行に出て行ってしまったのでありましょう。
[1]狼狽◎【ろうばい】
【名】【自サ】
狼狈,惊··失措『成』。(思わぬ出来事などのために、びっくりしあわてること。)
△突然の訪問で狼狽した。/因突然来访,搞得狼狈不堪。
△狼狽して逃げ出した。/狼狈地逃走了。
△彼は不意をくらって大いに狼狽した。/他因出其不意非常惊慌失措。
△彼は少しも狼狽しなかった。/他一点也没惊慌。
△試験間近になると狼狽してにわかに勉強を始めた。/考试临近才着慌,急急忙忙地开始用功。
[2]トタン◎【とたん】
【名】【葡】tutanaga
镀锌铁皮,白铁皮。(亜鉛めっき鋼板のうち、主に建築資材として使われているものを指す。)
△トタン板。/锌皮;白铁皮。
△トタンで屋根をふく。/用白铁皮盖房顶。
△トタン葺き。/白铁皮···顶。
[3]庇【ひさし】
【名】
(1)房檐。(建物の····出入り口·縁側などの上部に張り出す片流れの小屋根。)
(2)帽舌,帽檐。···帽子の、額の上に突き出た部分。つば。)
△庇を目深におろす。/把帽舌深深地拉下来。
[4]胸毛◎【むなげ】
【名】
(1)胸部长的毛,胸···。(胸に生えている毛。)
(2)(鸟)胸部的···毛,胸毛。(鳥の胸の辺りの羽。)"id="amw_comment_0"/>
[5]継目【つぎめ】
同:継ぎ目
[6]そよ風◎【そよかぜ】
【名】
微风,和风。(そ··そよと吹く風。びふう。)
△··よ風が窓から入ってくる。/微风从窗户吹了进来。
[7]戦ぐ◎【そよぐ】
【自动·一类】
(被风吹动)沙沙作响,微微摇动。(風に吹かれて草や木の葉などがかすかに音をたてて揺れ動く。)
△風に戦ぐあし。/随风摆动的芦苇。
[8]茎②【くき】
【名】
茎;秆;梗。(高等植··において、植物体を支え、根か吸収した水分や養分を師部·木部を通して各部に運ぶ器官。)
△葉状茎。/叶状茎。
[9]穂状【すいじょう】
穗状.
穂状花序/穗状花序.
[10]花序①【かじょ】
【名】
〈植〉花序。(茎へ··花の付き方。花軸上の花の並び方。分類の目安の一つとなり、無限花序と有限花序とに大別される。)
[11]綿毛◎【わたげ】
【名】
汗毛,软毛。(綿の··うにやわらかな毛。にこげ。うぶげ。)
△たんぽぽの綿毛。/蒲公英的绒毛。
[12]種子①【しゅし】
【名】
种子。(種子植物で··受精した胚珠が成熟して休眠状態になったもの。たね。)
△種子植物。/种子植物。
[13]朽ちる②【くちる】
【自动·二类】
(1)腐朽,···烂,腐坏。(物体が腐って形を失う。腐れ壊れる。)
(2)默默无闻而终,···没一生。(すたれる。駄目になる。)
(3)衰败,衰···。(消滅する。なくなる。)
△彼の名は永遠に朽ちることはない。/他的名字将永垂不朽。
[14]判明◎【はんめい】
【名·形动·自动·三类】
明确,弄清楚。(明瞭によく分かること。)
△犯人の逃亡先が判明した。/弄清了犯人的潜逃地点。
[15]僚友【りょうゆう】
同事.
太好了!
好!
没有第一课啊