私は長く沖縄[1] に住んでいたが、小さな離島[2] を訪れる[3] たびに、島が変わっていくのが、よくわかる。白いサンゴの砂を敷きつめた[4] 福木[5] の並木[6] が涼しい影を落とす美しい道が、次に訪れたときにはただ広いだけのコンクリート道路に変わっている。日中など、焼けた鉄板[7] の上にいるのと同じで、とても歩けたものではない。なんでこんなことをするのかと聞くと、狭い岛で公共事業をやろうとすれば、道路を「良くする」のと、砂浜[8] の海岸をコンクリートで固めて「護る」しか、やることはないのだそうだ。
技術というものは、次の3つの点から、評価されねばならない。(1)使い手の生活を豊かにすること、(2)使い手と相性がいいこと、〔3〉使い手の住んでいる環境と相性がいいこと。
産業革命以来、技術はわれわれの生活を豊かにしてきた。エンジン[9] はわれわれの筋肉[10] を増強[11] し、その結果、われわれは楽に大きな力を出せるようになった。望遠鏡[12] や顕微鏡[13] は目の力を増強[14] し、遠くのものや小さいものを見えるようにしてくれた。コンピュータは脳の力を増強[15] し、おかげではやく複雑な計算をしたり、大量の記憶を処理できるようになった。
[1]沖縄◎【おきなわ】【名】
冲绳。(日本地名。日本最南···の県。沖縄本島をはじめ琉球諸島を含む。県庁所在地は那覇市。)
[2]離島◎【りとう】【名】【自动·三类】
(1)孤岛。(離れ島。)
(2)离开岛屿。(島を離れること。)
△就職で離島する。/为就业离开小岛。
[3]訪れる④【おとずれる】【自他动·二类】
(1)访问,过访···ある場所や人の家に行く。訪問する)。
(2)到来;来临〔やってくる〕。
△春が訪れる/春天来临。
[4]敷き詰める④【しきつめる】【他动·二类】
全面铺上,铺满。··すきまのないように敷く。)
△ござを敷き詰める。/铺满席子。
[5]ふく‐ぎ【福木】
オトギリソウ科の高木?フィリピン原産?葉は広楕円形?革質で甚だ強靱?花は小形?黄色?熱帯の海岸に生じ?沖縄では防風の目的で生垣とする?樹皮から黄色染料をとる?
[6]並木◎【なみき】【名】
街道树。(並んで立っている樹···。また、街路の両側などに1列に並べて植えた木。街路樹。)
△街路に沿って並木を植える。/沿街栽上并排树。
△並木のある歩道。/有街道树的人行道。
△並木道。/林阴道(路)。
[7]鉄板◎【てっぱん】【名】
铁板。(鉄を板状にのばした···の。鉄の板。)
△鉄板焼き。···铁板煎(肉、鱼、菜等)。
[8]砂浜◎【すなはま】【名】
海滨沙滩。(砂の堆積した海···。)
△砂浜に寝ころんで休む···/躺在海边沙滩上休息。
[9]エンジン①【エンジン】【名】【英】engine
发动机,引擎。(···動機。)
△ディーゼル·エン···ン。/内燃机;柴油机。
△エ···ジンがかかる。/引擎开动;开始工作;来劲。
△彼はやっとエンジンがかかった。/他总算动起来了。
△エンジンをかける。/开发动机。
△エンジン·ブレーキ。/发动机制动(器)。
[10]筋肉①【きんにく】【名】
肌肉,筋肉。(収縮·弛緩に···って動物の体を運動させる器官)
△筋肉隆々たる体/肌肉发达的体格。
△筋肉がけいれんする/筋肉痉挛;抽筋儿。
△彼は筋肉質だ/他浑身都是肌肉。
△筋肉リューマチ/肌肉风湿症。
△筋肉労働/体力劳动。
△筋肉注射/肌内注射。
[11]増強◎【ぞうきょう】【名】【他サ】
(人员设备的)加强··(人員·設備などをふやし組織の機能を強めるために、その内部の構造を充実させること。)
△生産力を増強する。/提高生产力。
[12]望遠鏡◎【ぼうえんきょう】【名】
望远镜。(戸外で遠く···物を拡大してはっきり見る時に使う、長い筒形のめがね。)
△天体望遠鏡。/天体望远镜。
[13]顕微鏡◎【けんびきょう】【名】
显微镜。(微小な物体を···大して見る装置。)
△顕微鏡···見る。/用显微镜看〔观察〕。
△顕微鏡をのぞく。/看显微镜。
△顕微鏡の焦点を合わせる。/调节显微镜的焦距。
△電子顕微鏡。/电子显微镜。
△顕微鏡写真。/显微照相。
[14]増強◎【ぞうきょう】【名】【他サ】
(人员设备的)加强··(人員·設備などをふやし組織の機能を強めるために、その内部の構造を充実させること。)
△生産力を増強する。/提高生产力。
[15]増強◎【ぞうきょう】【名】【他サ】
(人员设备的)加强··(人員·設備などをふやし組織の機能を強めるために、その内部の構造を充実させること。)
△生産力を増強する。/提高生产力。
これらの技術がわれわれの暮らしを豊かにしてきたのは、間違いのない事実である。しかし、使い手を豊かにするという観点[1] ばかりに重きをおいて技術を評価する従来のやり方を、考え直すべきときにきているのもまた事実である。自動車というものは、これまでの基準[2] からすれば完成度のかなり高い技術なのだけれど、人間との相性や環境との相性を考えに入れると、まだまだ未熟[3] な技術と言っていい。
人間との相性ということからみれば、道具が、手や足や目や頭の、すなお[4] な延長[5] であれば、それに越したことはない。作動[6] する原理が、道具と人間とで同じならば、相性はよくなる。残念ながら、コンピュータやエンジンは、脳や筋肉[7] とはまったく違った原理で動いている。だから操作がむずかしいのである。自動車学校にみんなが行って免許[8] をとらなければいけないこと自体、車というものが、まだまだ完成されていない技術だという証拠であろう。
[1]観点①③【かんてん】【名】
观点,看法,见地,角度。作···判断之基础的立场。(物事を考察·判断するときの立場。見地(けんち)。)
△正しい観点をうちたてる。/树立正确的观点。
△別の観点に立って考える··/从另一个角度考虑。
△一方··観点からだけでものを見るのは危険だ。/只从片面看问题是危险的。
△あらゆる観点から見て成功はまずまちがいない。/从各方面来看,成功大致是没有问题的。
[2]基準◎【きじゅん】【名】
标准。用作比较的参照物。基···。法律规定的必须最低限度遵守的条件或状况。规格。准则。准绳。(ものごとの基礎となる標準。比較して考えるためのよりどころ。)
△基準にあわせて造る。/按照规格制造。
△行動基準にしたがう。/遵循行动准则。
△自分を基準にする。/以我划线。
△基準賃金。/标准工资;最低工资。
△基準外賃金。/附加工资。
△基準価格。/标准价格。
[3]未熟◎①【みじゅく】【名】【形動】
(1)未熟,生(くだものなどが、よくみのっていないこと)。
(2)未成熟,不熟练(学問·修養·技芸などが、十分でなく、一人前でないこと)。
△未熟な腕前。/不熟练的技术。
△未熟者ですがどうぞよろしく。/初出茅庐,请多指教。
△あの芸人は未熟だ。/那个艺人(的技艺)还不成熟。
△未熟児。/早产儿。
[4]素直①【すなお】【形动】
(1)坦率,直率,老实;纯朴,天真,不隐讳。(心の正しいこと。正直。)
△素直な生徒。/老实〔天真〕的学生。
△彼は素直に育った。/他长得很天真纯朴。
△素直に友人の忠告を聞く。/老老实实听从友人的忠告。
△素直に白状する。/坦白交···;老老实实坦白出来。
(2)听话,柔顺,温顺。(穏やかで人に逆らわないこと。従順。柔和。)
△素直な子ども。/很听话的孩子。
△どうしても素直になれない。/怎么也直率不了。
(3)大方,工整,地道,纯正;笔直,没有虚饰,不矫饰。(飾り気がなくあ···のままなこと。また、技芸などで、癖がなく、すっきりしていること。)
△素直な字。/(工整)的字迹。
△素直な髪の毛。/柔软直溜的头发。
△素直に伸びた木。/没有旁杈的笔直的树。
[5]延長◎【えんちょう】【名】【他动·三类】
(1)延长(···る物事の続きと考えられること。一続きのもの)。
△直線を2倍に延長する/把直线延长一倍。
△延長記号/〈楽〉延长号。
(2)继续;延长部分;扩展(長さ·期間などを予定よりも長く延ばすこと。また,延ばした部分)。
△この講演は大学の講義の延長ともいえる/这个演讲也可以说是大学讲座的继续。
(3)全长(長さや距離などをひとま···めにした場合の全体の長さ。全長)。
△路線の延長3千キロ/线路全长三千公里。
[6]作動◎【さどう】【自动·三类】
工作,动作。
△予定どおり作動した。/按照预定那样工作了。
△正常に作動する。/···常运转。
△作動率。/作功系···。
[7]筋肉①【きんにく】【名】
肌肉,筋肉。(収縮·弛緩に···って動物の体を運動させる器官)
△筋肉隆々たる体/肌肉发达的体格。
△筋肉がけいれんする/筋肉痉挛;抽筋儿。
△彼は筋肉質だ/他浑身都是肌肉。
△筋肉リューマチ/肌肉风湿症。
△筋肉労働/体力劳动。
△筋肉注射/肌内注射。
[8]免許①【めんきょ】【名·他动·三类】
(1)批准。许可。许可证。(特定を行うことを官から許すこと。)
△免許が下りた。/许可下来了。
△自分免許の学者/自封的学者。
△1か月間免許を停止される。/被扣〔停止使用〕许可证一个月。
△免許料。/许可费。
△仮免許。/临时执照。
△無免許。/无照执业。
(2)师傅向弟子传授秘诀。(師から弟子にその道の奥義を伝授すること。)
△免許皆伝。/传授一切拿手技艺。
△免許皆伝の腕前。/取得真传的本领。