しかし、企業にとってはお荷物[1] だ。各種のデータにもとづきコンピューターの出した報告によって、このことを知った冷酷なる人事部は、一計を案じた。
おとり[2] 作戦を計画した。巧妙に彼をわなにかけ、それをたね[3] に首にするのだ。反企業的な行為という事実をたねにすれば、追い出すという大義名分[4] もたつというものだ。ある下請け[5] 会社に言い含め[6] 、彼にリベート[7] を握らせようと仕組んだ[8] 。聖人をおとしいれる[9] 第一歩は、まず堕落[10] させることだ。
その作戦が展開されたのだが、なんの収穫もあげられなかった。下請け会社の者は、人事部にやって来て、あずかった金を返しながら、そっと[11] 報告した。
「私の手にはおえません。世の中に、あんな立派な人物はいませんよ。筋の通らぬ金には、まったく手をつけようとはしません。なんであの人を追い出さなくてはならないのです。社の至宝[12] といってもいい人でしょう。追い出したりしたら、社の批判が悪くなりますよ」
第一の作戦は失敗だった。次にはもっと非情[13] な作戦。詐欺[14] のたくみ[15] なグループに依頼し、かれの責任となるような形で、製品の取り込み[16] 詐欺をやらせたのだ。企業にとっては損害だが、これでやつを追い出せれば、その利益でおつり[17] が来る。詐欺団と聖人では、勝負ははじめから付いてくる。彼はみごとに引っかかった[18] 。待ってましたとばかり、上層部[19] から彼に「早く解決せよ」との命令がとどく。
しかし、芝居は筋書き[20] 通りに進まなかった。なにしろ彼は責任感が強く、寝食[21] をわすれて解決に熱中した。足を棒にして[22] 歩き回り、詐欺団の一味[23] を追いかけ、何とか製品を返すか金を払うかしてくれと頼み、交渉を重ね、あきることなく続けるのだ。
[1]お荷物②【おにもつ】
【名】
(1)对他人行李的美称。(他人の荷物を丁寧にいう語。)
(2)累赘,包袱,负担。(じゃまになったり、負担になったりする人や物。やっかいもの。)
△若い者のおにもつにはなりたくない。/年轻人都不想成为别人的累赘。
[2]囮◎【おとり】
【名】
(1)囮子,游子,鸟媒,鸟囮子。(鳥や獣を捕らえようとするとき、誘い寄せるために使う同類の鳥·獣。)
△小鳥をおとりに使う。/把小鸟做为囮子。
(2)诱惑物;诱饵,引诱的手段。(誘いよせに利用するもの。)
△景品をおとりに物を買わせる。/把赠品做为诱饵勾引人们购买商品。
[3]種①【たね】
【名】
(1)种子,果核(植物が発芽するもとになるもの。種子)。
△種をまく/播种。
△すいかの種/西瓜子儿。
△桃の種をとる/取出桃核。
(2)种,品种(人または動物の系統を伝えるもととなるもの。精子)。
△種のよい馬/良种马。
△一粒種の男の子/独生子;独根苗。
△彼の種を宿す/怀了他的孩子。
(3)根源,起因,原因(物事の起こる原因となるもの)。
△おもちゃが子どもたちのけんかの種になります/玩具成了孩子们吵架的原因。
△不和の種をまく/散布不和的种子。
(4)秘密,诀窍,秘诀(裏に隠された仕掛け)。
△手品の種/变戏法的秘密。
(5)汤里面放的材料(料理の材料。また、汁の実)。
△パンの種/面肥;酵母。
△菓子の種を仕込む/准备做点心的原料。
△その料理屋で食べさせるものは種がいい/那家饭馆使用真材实料。(6)题材;话题(話や小説などの題材)。
△小說の種をあさる/搜集小说题材。" id="amw_comment_0"/>
(6)题材;话题(話や小説などの題材)。
△小說の種をあさる/搜集小说题材。
[4]大義名分①【たいぎめいぶん】
【名】
堂堂正正
[5]下請け◎【したうけ】
【名·サ変他】
转包(工),转承揽,分担承包。承受转包的人;承包人。(ある人や会社などの引き受けた仕事を、別のものが引き受けてやること。また、それをするもの。下仕事。又請負。)
△仕事を下請けに出す/把工作转包出去。
△下請け工場/承包工厂;转包工厂。
[6]言い含める⑤【いいふくめる】
【他动·二类】
仔细说给听,耐心嘱咐。(よく分かる(ってその通りに実行する)ように言い聞かせる。)
△彼には十分言い含めておくがよい。/先好好和他说说吧。
[7]リベート②【リベート】
【名】【英】rebate
(1)回扣,折扣。(割り戻し。)
△売上高に応じてリベートがもらえる。/根据销售额可以拿回扣。(2)手续费,佣钱。〔手数料。〕
△リベートを取る。/收佣钱。
[8]仕組む②【しくむ】
【他动·一类】
(1)计划,谋划,筹划。〔くわだてる。〕
△巧みに仕組まれたトリック。/巧妙筹划的诡计。
△仕組んだ狂言。/谋划好的骗局。
(2)构思,编写(小说、戏剧等)。〔趣向を考える。〕
△この小説はうまく仕組んである。/这篇小说的构思巧妙。
[9]陥れる【おとしいれる】
(1)〔抜け出せなくする〕陷;陷害;诱骗,使陷入.
(1)〔抜け出せなくする〕陷;陷害;诱骗,使陷入.
△人を罪に陥れる/诱骗人犯罪.
△苦しみのどん底に陥れる/使人陷入水深火热之中.
△敵を苦境に陥れた/使敌人陷入困境〔狼狈不堪〕.
△彼は恨みをもってわたしを陥れようとしている/他恨我想要陷害我.
(2)〔陥落させる〕攻陷.
△城を陥れる/攻陷城池.【他下一】
[10]堕落◎【だらく】
【名·自动·三类】
堕落,走下坡路。(品行が悪くなり、生活が乱れること。)
△彼は堕落してばくちばかりしている。/他堕落得光赌钱。
△友人たちのおかげで彼女は堕落した生活から立ち直った。/多亏朋友们的帮助,她才从堕落的生活中脱出身来。
△独裁者はよく政治を腐敗堕落させる。/独裁者常常使政治腐败堕落。
[11]そっと◎【そっと】
【副】
(1)悄悄地,轻轻地,安静地〔静かに〕。
△そっと席を立つ/悄悄地离开座位。
△病室のドアをそっと押す/轻轻推开病房门。
(2)偷偷地,暗中〔ひそかに)。
△そっとのぞく/偷偷地看。
△そっと教室を抜け出す/偷偷溜出教室。
(3)不惊动,不去动〔そのままにしておく〕。
△しばらくそっとしておいたほうがいい/暂时不(惊)动它为妙。
△しばらくそっとしておいてくれ/暂时别打搅我。
[12]至宝◎【しほう】
【日本地名】【名】
至宝,珍宝。(この上なく大切な宝。)
[13]非情◎【ひじょう】
【名·形动】
无情。(喜怒哀楽の情がないこと。また、人間味や思いやりのないこと。)
△非情の人。/冷酷的人。
△非情の雨。/无情的雨。
△非情な仕打ち。/冷酷的行为。
[14]詐欺①【さぎ】
【名】
欺诈,欺骗;诈骗。(巧みに偽って金品をだまし取ったり、相手に損害を与えたりすること)
△詐欺にかかる/受骗。
△詐欺をする/欺骗人;搞骗术。
△詐欺を見破る/揭穿骗术。
△詐欺で金を巻きあげる/诈骗金钱。
△詐欺行為/欺骗〔诈骗〕行为。
△詐欺事件/诈骗案。
[15]匠◎【たくみ】
【名】
木工,木匠,雕刻匠。(木で物を作る職人。)
△匠工芸。/木匠艺术。
[16]取り込み◎【とりこみ】
【名】
(1)收获,收割。(とりこむこと。収入。収穫。取り入れ。)
(2)(因意外事故等)忙乱,忙碌。(用事がたてこむこと。急なできごとなどで、ごたごたすること。)
△お取り込み中申し訳ありません。/在您百忙中打扰您很对不起。
△彼の家では何か取り込み事があるにちがいない。/他的家里乱糟糟,准是出了什么事。
[17]お釣り◎【おつり】
【名】
(1)有剩余。(十分で、余りがでる。余りある。)
△家計費を十分賄ってお釣りが来る。/挣了不少生活费,能剩下不少。
(2)找零。(釣り銭が戻ってくる。)
△千円でお釣りが来るサービス。/返利1000日元的优惠。
[18]引っかかる④【ひっかかる】
【自动·一类】
(1)挂上,剐上;挂住,卡住(突き出ている物,張り出している物にかかってそこに止まる)。
△網に引っ掛かる/挂到网上。
△とんぼがくもの巣に引っ掛かる/蜻蜓挂在蜘蛛网上了。
△上着がくぎにひっかかった/上衣剐到钉子上了。
△このペンはひっかかってだめだ/这支钢笔划纸不好使。
△彼の話は妙に引っ掛かる/他的话总让人耿耿于怀,不能坦然。
(2)牵连(やっかいな事柄や人物とかかわりあいをもつ)。
△収賄事件に引っ掛かる/与受贿事件有牵连。
(3)受骗,上当(だまされて仕組まれたとおりに動かされる。計略にはまる)。
△まんまとひっかかった/被巧妙地骗了一遭。
△計略に引っ掛かる/中计。
△彼の悪だくみに引っ掛かる/中了他的圈套。
△悪い女に引っ掛かる/受坏女人骗。
(4)被检查出来(何かに妨げられて進行が止められる)。
△この品物は税関でひっかかった/这件东西在海关被扣下了。
△警察の検問にひっかかった/受到了警察的盘问。
△この本のここの箇所が検閲にひっかかった/这本书的这个地方没通过审查。
[19]上層部【じょうそうぶ】
(1)没隔层时,(被摞起来的)物品的上面部分
(1)没隔层时,(被摞起来的)物品的上面部分
(2)组织里的上层阶级或上层人物,高层。
[20]筋書き◎【すじがき】
【名】
(1)梗概,情节,概要。(あらすじ。)
△芝居の筋書きをプログラムに印刷する。/把剧情印在节目单上。
(2)节目表。(プログラム。)
△筋書きを配る。/分发节目单。
(3)计划,预想。(計画。)
△万事筋書きどおりに運んだ。/一切都按预想的那样进展了。
[21]寝食③【しんしょく】
【名】
寝食。(寝ることと食べること。日常生活。)
△寝食を共にする。/同吃同住。
[22]足を棒にする【あしをぼうにする】
【惯用语】东奔西走,四处奔走。
一日中足を棒にして職を探し回る。/一天四处奔走寻找工作。
△一日中足を棒にして職を探し回る。/一天四处奔走寻找工作。
[23]一味②【いちみ】
【名】
(1)一味药。中医中的一种药物原料。(漢方で、ひとつの薬種。)
(2)一味,一股。一种味道,某种趣味。(一種の味わい。ある種の趣。)
△ 一味の清風。/一股清风。
(3)一伙,同类,同伙。同党,主要指坏人。(仲間。一党。主に悪人に言う。)
△一味に加わる。/加入帮伙。
△強盗の一味が逮捕された。/一伙强盗被逮捕了。
愛社心:あいしゃしん 上面注音错啦
哈哈把最后一个例句划掉好可爱啊(/ω\)害羞这是什么宝藏网站啊!!!!大爱!!!谢谢做这个网站的人呀!!太有用了,非常详细,看得出来很用心,太优秀啦